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水の基本的性質

化学的性質

 アクアリウムに使用する水の中には様々な物質が含まれる。それを大別すると溶存態(dissolved form)と懸濁態(suspended form)となる。

a,分子、イオン

 炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、砂糖、アルコール等のように非電解質と称するもので透明で伝導率に影響しないものをいう。

 

 天然水中のうちケイ酸を除く8主要成分(Ca2+,Mg2+,Na+,K+,HCO-,Cl-、SO2-)などでこれらは正、負のイオンになっておりたがいに全体としてはつりあっており、溶液としては中性を保つ。

 

 水中の炭酸、ケイ酸、有機酸などはその一部がイオンとなり互いに融通しあいいわゆる弱電解質となっている。水溶液ではこれらの大部分が分子状態である。

 ケイ酸や有機酸が存在すると弱酸性を示すのはこのせいである。

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図1 水槽での物質の形態

 

b,コロイド、懸濁物質

 一般的にコロイドとは肉眼で確認出来ない粒子体で、肉眼で確認出来る大きさのものを懸濁物質とすれば分かりやすいだろう。

 これらの粒子は、プランクトンや微生物、動植物の死骸、無機物からなる。これらの中で粒子の小さいものは懸濁して安定であるが、大きなものは沈降して沈澱物となる。

 

c,物質の溶解

固体の溶解度

 アクアリウム(淡水の場合)に使用する水源の場合、その中に含まれている物質は極めて少ないため、純水の溶解度とほぼ等しいと考えてよい。しかし、海水のように溶け込んでいる物質が多い場合は著しく純水と異なる。

 また、食塩などのように水温に左右されにくい物質があるもののたいていそれにより左右される。水温が高くなれば溶解度は増し、低くなれば減少する。

 同じ物質でも結晶の違いにより溶解度は変わる。  

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水温による気体と固体の溶存状態

 

気体の溶解度

 気体もやはり固体と同じく水温に左右される。しかし、気体の場合水温が高くなれば溶解度は減少し、低くなれば増す。

 またアクアリウムではあまり関係ないが圧力によっても左右される。これは天然においては重要な意味をもつ。二酸化炭素を例に上げると、地下から涌き出した水に多く含まれ、それを水生植物が利用する。肥料となる栄養塩類にもこれはあてはまる。二酸化炭素は水に溶けると水及び水中溶存物質と反応して炭酸(HCO)、炭酸水素塩(HCO-)、炭酸塩(CO2-)となる。二酸化炭素として表すのはこの中のCOとHCOとする。なぜなら他は、水中で他の物質(Ca等)と反応しているからである。(詳しくは炭酸の項を参照)

 酸素はアクアリウムの場合昼間、過飽和になりがちである。このとき酸素の気泡ができる。このときの気泡の圧力は1気圧以上である。こうなるためには少なくとも飽和度(水温により左右される)が5倍以上にならなければならない。言い換えるなら100%を越えるということだ。(大気中の酸素分圧は20%)

 

イオンの溶解濃度

 イオン濃度は、共存する陽陰イオンの種類と溶存量の限界によって決まる。(溶解度積)この溶解度積によりその水中には2つのイオンはその濃度以上に共存する事は出来ない訳である。淡水と海水では溶解度積は異なる。

 水草に欠かせない鉄を例にとってみる。

 鉄には2価のイオンと3価のイオンがある。その各々が水に対して違った溶解度積をもつ。これらはpHによって左右される。これは鉄イオン(Fen+)と水酸化イオン(OH)の濃度によって決定される。

 たとえばPH7では2価イオンは計算上2.4mol(132g/l)も溶ける。しかし、3価イオンはPH7では溶けずPH2でさえも2100mg/lしか溶けない。ゆえに水草水槽で標準となるPH6〜7であれば3価鉄は利用出来ないことになる。

 

物理的性質

 アクアリウムにはあまり関係がないとは思うが、水というものを知るうえで参考程度にして欲しい。

 比重;3.98℃で水は一番重たいこのときの比重を1.00000000とする。

    3.98℃の水1mlは1.00000000g

 密度;1cm3、3.98℃の水の質量の密度は0.999973gである。

 湖水等では鉛直循環の原因となり、凍りは水に浮くためその下での生物の生存が可能。もし、氷の方が水より密度が高い場合は北極や南極で凍った氷が海底より埋め尽くし海はすべて凍ってしまう。約4度で比重が最大と言うことは赤道に近づくほど水深が深くなるにつれ、水温は低下し、両極に近づくほどそれとは逆になり、深海では地球上どこでも約4度の恒温層となっていることは我々生命が地球上で存在する上で極めて重要な要素となっている。 

 沸点;1気圧(760mmHg)で100.000℃である。

 融点;1気圧(760mmHg)で0℃である。

 我々生物が生活する常温で気体、液体、個体の3形態が存在する物質は水しかない。

 蒸発熱;物質の中で最大。(40.6kJ/K)気候緩和や体温調整に重要である。 比熱;アンモニアを除き最大。(1cal /g/K)水は熱しにくく冷めにくい。

 気候に対する温度変化を緩和し、生物の体温調整に役立つ。

 表面張力;物質の中で最大(20℃、72.8×10−5N/cm)植物の高いところまで水が上昇する仕組みはこのため。

 

 

使用水

 水道水

 たいていのアクアリストが水道水を使用すると思う。日本の水の場合、アクアリウムに使用するにあたっては大まかには問題はない。しかし、水槽水と水道水の水質に余りに開きがある場合は例外である。たとえば、水槽水の水も変えず半年ほどおいたとする。このときの水質はどうであろうか。濾過もうまくいき、色々な物質が溜まつていないなら適度に換水しても何も起こらない。しかし、PHの変動や伝導率に大きな差異ができたとするならどうであろう。問題のないはずの水道水を1/3程入れ換えただけで魚の体調はもとよりバクテリアにまで障害を来し、水質は一転するであろう。また、源水の電導率が高い価を示す場合、いくら換水しても源水が悪い場合も少なくない。

 また季節の変わり目などによく起きる現象として貯水現地の水温変化にともなうと思われると思う水質の変動と降雨による養分の洗い流しなどの水質変動がある。もう一つ夏季における日照り続きによる溶解成分の濃縮である。このようなときは定期的な換水を行っていても水槽環境のバランスを崩す可能性がある。

 また日本の水道水の水質基準というものがある。これを見ると硬度等は非常に高い値まで良いということになっている。しかしこれはあくまでも基準であって基準値近くまで上昇することはない。逆に言い換えるならもし高くなったとしても水道基準以内であれば我々の家庭の蛇口まで来てしまうということである。

 ヨーロッパ諸国などはこの基準すれすれの濃度まで含まれているものもある。従ってそのような不要な物質を取り除き、欠乏しているものを溶解させているのだ。従って、日本の場合でもイオン交換等の脱イオン処理を行い、電導率を下げる必要がある。その後に、足りない元素つまり配合が程良い肥料で調整することがよりよい環境をつくる条件の一つである。

 通常、水道水の伝導度は朝方低く、夜になるほど高くなる。このことから伝導度の高い地域の方は、できるだけ朝方の換水を勧める。

 しかし今日、日本の場合も高度処理化が進み高度処理水が我々の水道蛇口から供給されはじめた。このことにより以前のように神経をとがらせることは都会でも少なくなってきた。その反面、導電率が低くなりすぎ栄養を多く要求する地域が今日出始めたことが報告されている。

 以上のような点から水道水とはいえ日頃より水質の分析を行っていくことが賢明であろう。

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同じ水系でもその時々で微妙に水質が変わる

 

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水槽セット時とそのまま生物を飼育した水質には大なり小なり変化が起きる。

 

 

 地下水

 地下水には多くの塩類が含まれる。これは地底にある水脈であるため岩石土壌に触れ、流速が遅いためその土地特有の物質が溶解する可能性が大きい。また河川にくらべ人為的影響も受けやすい。従って、地下水とはいえ地域により水質がかなり異なることが多い。

 また地下水は大気と遮断されているため、溶存気体の量も変わってくる。もし地下水に有機物が含まれていればそれをバクテリアが分解する。そのとき酸素を消費し二酸化炭素が発生する。そうすれば大気と遮断されているため酸素の供給はなくなり生じた二酸化炭素もほぼ全量地下水へ供給される。そのためPHは低くなる。

 土壌には硝化バクテリアが多く棲息し、窒素化合物を分解し硝酸塩とする。これは水に溶けやすいため降雨等により地下へ運ばれ地下水の硝酸塩濃度は高くなる。

 地下では光があたらないため光合成などの光化学反応が行われず前者のような分解反応が主たるものである。

 二酸化炭素が岩石土壌と反応し炭酸水素イオンを生じる。

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 以上のようなことから使い方によれば水道水よりも良い結果を得られるであろう。しかし、硬度が高い場合や、農薬や生活用水の人為的影響を受け易いため、必ず水質を知ったうえで使用するように心がけてもらいたい。

     

 

水質分析

 温度

 我々のもつアクアリウムでは冬場はヒーター、サーモスタットの普及によりある程度水温を一定に保つことが可能である。しかし、我国の夏場はどうであろう。確実に外気温に左右されるであろう。

 この水温はアクアリウムにとって重要な因子の一つである。この変動により、生体の代謝は著しく変わり、高水温(30℃以上)による代謝過剰、低水温(植物により差異は大きい)による成長休止あるいは枯死などの現象がおこる。前者の場合、溶存気体の溶解量は減少し、代謝過剰による栄養塩濃度の低下を引き起こし成長不良となる。

 このように他の水質バランスが非常に取りにくくなるということが言える。

 また水温によりpH、溶存物質の値が変わってくる。

 我国では夏期における水温調整が1番の課題といえよう。

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生物にはそれぞれ水温に適した温度がある。
我々のアクアリウムでは25℃前後がよい。

 

 水生植物の適温

 さて今まで述べてきたのは相対的所見であった。一言でいうと通常今現在我国でアクアリウム用植物として使用されているものについては20℃〜26℃が適温といって良いだろう。但し、低水生植物や好温水生植物を取り混ぜた場合は光源、水質をしっかり把握せねばならないであろう。それは後程の項を参照して欲しい。

 また日本産植物で渓流など水温が低いところに自生している植物の場合は、20℃以下で育成するのが最善である。

 

 照明器具による水温変動

 強い水流を嫌う水草水槽では、上層部と下層部の水温に著しい違いが見られることがある。これは、上層と下層の物質に差異が生じることから生態系自体のバランスを崩すことになりかねない。この原因として蛍光灯安定器から生じる赤外線輻射熱が1番の原因である。このようなことから蛍光灯を照明とする場合は安定器を違った場所に設置するべきである。

 また、ハロゲン等のように赤外線輻射量が多い光源は主たるものとして使用してはならない。

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光源にはそれぞれ特有の発熱(赤外線)を生じる。
それの少ないものを用いるとよい。

 

日周期的、季節的水温変動

 元来、水生植物は水流の弱い栄養塩や炭酸ガスが涌きでている小川や湖沼に繁茂する。従って地下水などの涌き出る付近では1日を通じて水温変化は少なく、年間を通じてもたいした変化にはならない。私が取るところのデーターによると日周期変動は1℃前後、季節変動は夏季冬季で2〜3℃程度が良いだろう。この値は様々な地域適水温の植物を一同に育成したときの平均的値である。

 日周期変動を5℃(25℃を基準とした場合)以上にすると植物は何らかの変調を来し形状が変わり、枯死する場合もある。季節変動は冬季の水温を何度にするかにより一概には言えないが夏季の水温を28℃までには止める必要はある。  

 

 pH

定義

 pHとは水素イオン濃度の量を表す単位で対数の逆数である。

つまりpH=log[H]である。

 [H]とは水素イオンのモル濃度である。

 ゆえにpHの値が1度違えば水素イオン濃度は10倍、2度違えば100倍になる。

 

RpH(Reserve pH)

 溶存している二酸化炭素を追い出すためきれいな大気でしゅぶん通気したときに示すpH値をいう。

 水質という面で最も根本的な性質がpHである。まずその水が酸性なのか中性なのかアルカリ性なのかを知ることが大切である。

 普通一般の水道水はくみ出したときはpHが6.5〜6.8くらいの値を示すはずである。ここでRpHを測定すれば7.5くらいになっているはずである。これは水道水に二酸化炭素(炭酸物質の項を参照)が溶け込んでいるためこのような現象が起こるのである。

 さて、水槽中のpHはどうであろうか。

 まずpHを測るまえにやっておかないといけないことがある。

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水道水にはCOが含まれpHを降下させている。
本来のその水のpHはRpHを測定すればよい。

 

硬度の測定

 カルシウム、マグネシウムがどの程度溶け込んでいるか。この溶解量により天然物の場合炭酸物質の量が変化し、pH値は左右される。

 例、底砂に硬度上昇物質が混入している場合やそれらを含む岩石等を投入している場合、水道水よりも高い硬度を示す。

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同じだけCO2が溶解していても、炭酸物質の含有量でpHは変わる

 

 

RpHの測定

 二酸化炭素を追い出した本来のその水のpH。この値が水道水より水槽水の方が低い場合、腐植酸、硅酸などの弱酸を呈する物質が含まれている可能性がある。硬度と比較してRpH値が低い場合、根本的水質改善の余地がある。

 例、魚類だけを飼育している水槽の場合、RpHは低い値を示す。これはエサの残り、魚類の死骸などが微生物により分解され有機酸など酸性を示す成分が蓄積される。

 以上のようなことを測定した結果、初めて水槽のpHを測ってこそ測った意味があると言えよう。その後に現存二酸化炭素量を割り出せるのである。そしてなおかつ、二酸化炭素濃度の値を幾らにしたいかによってpH値を決めなければならない。

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pH、KHだけで測定していても、老廃物質等のpHを降下させる物質が蓄積されて
いれば、Bの様な結果になり、誤ったCO量を測定することになる。したがって
RpHの測定は重要であり、Aの様な水槽を作り出さねばならない。

 

 

pHの変動

 水草水槽の場合、pHの変動は良くない結果を生み出す。これは、二酸化炭素濃度に関係する。中間時、健全な草は二酸化炭素を使い炭酸同化し酸素を放出する。そのため二酸化炭素濃度に常時変動が来される。このとき無論pHにも変動が起きる。夜間、この逆の反応が起きる。この反応でpH値は幾分低下する。ただし、水流が強い場合や通気をした場合、二酸化炭素濃度が低下し、酸素濃度が高くなりpHが幾分高くなる。

 コントローラーで調整した場合が変動もなくベストである。

 

硬度

 そもそも硬度とは石鹸(高級脂肪酸、不飽和脂肪酸のアルカリ塩)の泡立ちを阻害する能力をもった物質の目安とされていた。それでは余りにも範囲が広くなり過ぎる。

 硬度とは現在ではカルシウムイオン、マグネシウムイオンのことを指すのであって石鹸の泡立ちではその他の無機酸や鉄などもそれにかかわってくる。

 硬度は水草を育成する上での水質判定基準として重要である。

 例えば溶存炭酸ガス量を決めるうえで、pH値を設定しなければならない。

 硬度はしばしば全硬度、炭酸塩硬度、永久硬度(非炭酸塩硬度)などと区別される。これは本来はまぎらわしいであろう。現在我々が炭酸塩硬度として試薬を用い検出しているのはカルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計量に相当なアルカリ度ということである。なぜなら重ソウ(炭酸水素ナトリウム)を水槽に入れると今市販されている硬度測定試薬で検出される。これはアルカリ度に相当する炭酸物質が反応しているためである。しかしこれは炭酸塩硬度として差し支えはない。

 また永久硬度とはカルシウムとマグネシウムの合計量からアルカリ度を差し引いた値である。本来はこのようなまぎらわしい表現をするべきではないだろう。

 

硬度の表現

 我国の硬度の表現は米国に習って1meq(mg当量)/l=CaCO 50mg/lの換算でCaCOのmg/lを度で表す。

 ドイツ硬度1°=CaO 1mg/100mgである。従ってドイツ硬度1°は日本の硬度に換算すれば17.85°即ち、17.85mg/lと言うことになる。

 

カルシウムイオン

 我国の淡水はカルシウムイオンの含有量は少ない。従って水道水にも多く含まれることはない。しかし、水槽中に石灰を含む砂や石、鐘乳石などが含まれていると必然的に濃度は上がる。また、炭酸塩や硫酸塩が存在すればそれの溶解度積により溶質沈澱する。

 

マグネシウムイオン

 マグネシウムイオンの量が特に多いということは海水でない限りないだろう。もし高ければ緑岩などを水槽中へ投じていないかを調べるべきである。

 

硬度に伴う水質、水草への影響

 硬度が高ければ相対的にその水のpHは高い値を示す。それに伴い二酸化炭素の濃度を決めれば必然的にpHは決まるであろう。

 またカルシウム、マグネシウムの含有量が多ければ、他の物質(無機酸、炭酸等)と反応し沈澱し底砂の硬直等を引き起こす。

 植物そのものへの影響として、カルシウムによる葉脈硬化にともない物質循環不良、栄養塩過多などの症状をきたす。 

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低砂や投入物に、水に溶けやすい物質が含まれていると、それが大量に溶出し
水の汚れと関係なくpHやKHを変化させる。したがって中性付近での溶出物
の少ない低砂や投入物を用いなければならない。

 

炭酸物質

 炭酸物質とは、二酸化炭素(CO)、炭酸(HCO)、炭酸水素イオン(HCO-)、炭酸イオン(CO2−)の総称であり、これらは互いに密接な関係をもつ。またこれらは淡水の主成分であり水生植物はもとより、動物の環境を論ずるうえで重要と言えるだろう。 これらは相互に移り変わることができ、それらの割合によりpHは変動する。言い換えるなら、pHが変われば炭酸物質の割合が変わるということになる。

 

水槽での炭酸物質

 水槽へ二酸化炭素を人為的に供給する。空気中の二酸化炭素の含有量は0.03%であるため分圧により気中へ逃げ出そうとする。従って水面に水流を付けたり、水を撹拌するとこの反応が活発となり水中の濃度が低くなってしまう。強い水流は禁物である。 水中の植物は昼間時、炭酸同化により二酸化炭素を吸収し酸素を放出する。また動物の呼吸により酸素を消費し二酸化炭素を放出する。

 濾過層や底砂の微生物は有機物を分解し、酸素を消費し二酸化炭素を放出する。

 底砂に炭酸塩が含まれていれば二酸化炭素と反応し炭酸水素イオンとなり、pHは上昇する。(重ソウを水槽に入れるとpHが上昇するのはこの理屈)

 二酸化炭素は水温により溶解量がかわる。

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pHによる炭酸物質の形態

 

 俗に二酸化炭素と我々が呼んでいるものはCOとHCOであってそのほかのものは関係しない。むしろHCO-CO2−が多くなればpHは上昇してしまうことになるのだ。ただし、CO2−は存在しないと考えてよい。なぜなら便宜上pHが8.5以上にならなければ殆どないのと等しいからである。

 二酸化炭素を投入するとpHが下がるのはHCO(COとHCOは同じものと考えてよい)の割合が増えるためである。

 炭酸物質は他の物質(カルシウムイオン、マグネシウムイオンなど)の溶解度積により沈澱する。

 以上のようなことから炭酸物質は他のものと反応し溶出したり沈澱したりする。従って、底砂から何が溶出するかを考えずに二酸化炭素を溶解させると硬度の変移や、沈澱による底砂の硬直など水質を大きく変えることになる。

 また薬品(重ソウなど)によるpHの上昇を試みた場合、炭酸物質の全体量が増し、他の反応を起こす危険性があるためできるかぎり使用は避けてもらいたい。

 

二酸化炭素の適正濃度

 よく二酸化炭素を入れ過ぎると動物が酸素欠乏を引き起こすなどといわれるがこれはどうであろう。酸素の供給がない場合、二酸化炭素の有無にかかわらず水動物は死に至る。二酸化炭素が100mg/l溶解していても酸素が3mg/lあれば酸欠に弱いエビでも死には至らないのである。

 そこで、問題となるのが酸素の供給である。もし水草が光合成をしてその生態系に十分な酸素を供給できるなら問題はない。ただし、草が多く入っていても炭酸同化を阻害する要因があり酸素の供給が不足した場合、酸素欠乏はもとより水質が一変してしまう事態に陥ってしまうだろう。

 水草が正常な代謝をしている場合、適正二酸化炭素量は30〜40mg/lと私は考える。これよりも多くても問題はないのだが逆に二酸化炭素が気中へ放出されるいわゆるロスが多くなってしまう。また少なすぎると炭酸同化に制限が出てしまう。

 水草が正常でない場合、二酸化炭素量を少し減らし溶存酸素量を確認しながら調整して行けば良い。(DOの項参照)

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夜間でも老廃物の少ないバランスの取れた水槽で有れば3mg/l O2以下になることはない

 

 

アルカリ度

 アルカリ度とはある一定の強酸で滴定し酸を消費する物質がどの程度含まれているかを知る目安となる。

 たとえば、前項で述べた炭酸物質などがそれである。もし純水にある一定の酸を投入すればpHが2下がったとする。もし炭酸物質が含まれていれば同じ量の酸を投入してもpHは2も下がらない。これは

   CO2-+H+→HCO-

   HCO-+H+→HCO→HO+CO

                 という反応が起こり酸(H)を中和してしまう。 厳密に言えばアルカリ度の内容はこれだけではないが、炭酸物質とかかわりが深いことは確かである。

 

 アルカリ度はmeq/lで表される。また重量単位としてCaCOmg/lで表される。これは1meq=50.05CaCOということである。

 

 アルカリ度は底砂や濾材、投入している岩石から溶出する成分である。一般にケイ酸の少ない塩基性火成岩や堆積岩、石灰岩、貝殻などが含まれている場合はアルカリ度は高くなる。また水草水槽では二酸化炭素を強制的に溶かし込む。そうすると、二酸化炭素は底砂と反応しカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムを溶かし込む。二酸化炭素の濃度が高くなればなるほど底砂との反応が進みアルカリ度は上昇する。

 水草水槽においてはアルカリ度は低い値のほうが二酸化炭素や栄養塩類の調整はしやすい。なぜなら、二酸化炭素が他の物質と反応すれば必要ないものを溶出させてしまう。また、鉄等の物質を肥料として加えても水酸化鉄となり沈澱してしまう。

 しかし、天然水域や動物育成水槽では逆にアルカリ度はある程度高い方が良いであろう。これは動物の排泄物やエサの残りなどが腐敗し酸性を示す成分が溶出した場合、炭酸水素塩の成分などがあればそれを中和してしまいある程度pHに変動は起きないからだ。

 以上のようにアルカリ度は一般の我々には少し理解しにくいめんもある。しかし、水質を理解するうえで頭のかたすみにでも入れておいて欲しい。

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炭酸物質等アルカリ度を大きくする物質にはpHを急激に降下させない特性を持っている。

 

 

 DO(溶存酸素)

 溶存酸素とはガスとして水中に溶けている状態のものをいう。酸素ガスは化学変化や生物に極めて大きな影響を与える物質である。従って水草水槽はもとより、動物飼育水槽、海水水槽においても重要である。

 

 普通、酸素ガスはエアーレーションなど大気とガス交換が行われていれば24℃で8.52mg/lであり、水温が上昇すれば溶存量が減り、低くくなれば多くなる。

 水草水槽ではエアーレーションや強い水流など気中とのガス交換は極力避けなければならない。なぜなら、二酸化炭素溶存濃度を高くしなければならないのに気中との接触面が多くなれば分圧の差により水中より気中へ放出され効率が悪くなる。

 また夜間のエアーレーションも行ってはならない。これには2つの理由がある。

1、夜間のエアーレーションにより二酸化炭素量が激減しpH値に大きな変動が起こる。本来pHが昼間時より低くならなければならないのに反しpH値は高い値を示してしまう。その差はかなり大きく水中生物に悪い影響を及ぼす。

2、藻類は酸素を好む。従って溶存酸素量が多くてはいけない。しかし、昼間は水草が正常に育っていれば過飽和になるほどの酸素を水中に供給される。そして、飽和量の数倍に達したとき気泡となり確認される。昼間はこれで良い。夜間エアーレーションを行えば過飽和になるほどのことはなけれども飽和に近い値を示す。そうすれば藻類の発生要因の1つが加わることになる。

 

 よく夜間水草や微生物を含めた動物がが酸素を消費するので酸素欠乏になってしまう言われるがこれは間違いである。バランスのとれた水槽では昼間時水草が炭酸同化により有り余るほどの酸素をだす。そして消灯した後酸素はその水槽内の生物により消費され、あるものは少しづつ気中へ放出される(分圧の差)。そのあと溶存飽和量を下回れば気中より水中へ酸素は溶け込む(分圧の差)。酸素濃度が3〜4mg/lとなったとき、気中より溶け込む酸素量と水中生物の消費するそれとがうまく釣り合うのだ。

 このとき溶存二酸化炭素量は生物呼吸により、昼間時人工的に投入されている量より多くなる。そのためpHは若干ほど低い値を示すのだ。

 このような生化学的バランスを取るためにエアーレーション、水面の波立ち、強い水流は気中との兼合いから禁物であると言うことだ。もう一つ、水温が30℃以上を示した場合、溶存気体量が少なくなるため夜間、酸素欠乏を引き起こす可能性が高くなるので注意してもらいたい。  

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エアーレーション・強い水流はCO2濃度を減少させ
pHの変動を与えるため、水生生物に悪い影響を与え
藻類の発生を助長する

 

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溶存気体は自然界と同じ様な値になり
pHの変動も少なく水草や魚にとって
良い環境となる

 

酸素欠乏がおこる理由として、バクテリアが摂取する酸素の量が多くなる。言い換えるなら酸化されうるものがおおくその水槽は汚れているということになる。

このようなときは対策として酸素を消費する原因となりうるものを取り除いてやる必要がある。その課程において必要な場合はエアーレーションも行うべきである。

 

 酸化還元

 酸化と還元は同時におこる。たとえば亜硝酸が酸化され硝酸となる。このとき酸素が還元され亜硝酸が酸化されたということになる。

 このような酸化還元の状態の程度を表すものを酸化還元電位という。

 水草水槽では炭酸同化に伴い酸素が多く溶け込んでいるため酸化還元電位は高くなっている。いいかえれば酸化状態にあるということだ。

 しかし水草が何らかの状態から正常に育っていない場合は決して酸化状態にあるとはいえない。そうすると濾過層や底砂では有機物を分解するとき十分な酸素を利用できなくなる。このようなとき濾過層や底砂は還元状態になり、硫化物や有機酸などが蓄積され動植物が存在しにくい環境となる。

 従って水草が入っているからと言ってむやみに二酸化炭素を添加するだけではいけないということになる。草が光合成をして初めて二酸化炭素量を調整するべきである。

 淡水における酸化還元電位は変動が大きいため測定値に信頼性がない。そこで溶存酸素量を測ることによりその度合を知る。海水の場合は酸化還元電位を測ればよい。

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水草が光合成で生産したOが増加し水中や低砂の表面
が酸化状態になりそのしたの部分が還元状態となる。
このようになってこそ生態系が維持される。

 

 水草水槽での酸化還元

 1、酸化的環境

   酸素が水中に十分あるとき有機物は好気性バクテリアにより分解され低分子の物質(無機質)となる。

       例:タンパク質→アンモニア、亜硝酸等     有害

   無機物も同じく酸化状態の高いほうへ移行しようとする。

       例:二価鉄(Fe2+)→三価鉄(Fe3+) 低存在

         亜硝酸塩(NO-)→硝酸塩(NO-) 一部有用

         硫黄(S2-)→硫酸塩(SO2-)   一部有用

 酸化的環境下の水中では二価鉄、亜硝酸、硫黄は存在しない。

 

 2、還元的環境   

   酸素が十分にないとき有機物は酸化状態の低い動植物にとって有害な形で蓄積される。

       例:タンパク質→アンモニア、亜硝酸等    有害

   無機質は1、とは逆の反応を行おうとする。

       例:三価鉄(Fe3+)→二価鉄(Fe2+)     有用

         硝酸塩(N0-)→亜硝酸塩(NO-)     有害

         亜硝酸塩(NO-)→窒素ガス(N )    無害

         硫酸塩(SO2-)→硫黄(S-)、硫化水素(HS)有害

 

 以上のようなことから底砂や濾過層の状態は酸化的な部分と還元的な部分とが相互に存在していることが好ましい。 

 しかし、いくら酸化的環境でも与えられる有機物や動物の排泄物が濾過能力を上回る場合(特に動物飼育水槽)は有機酸等の有害物質が蓄積されpHも降下してしまうことを頭に入れておいてほしい。

 

 電気伝導度

 伝導度とは水中に溶けているイオンの量とイオンの電気を運ぶ早さがどの程度の値を示すかにより決まる。いいかえればどの程度イオンが水中に溶け込んでいるのかを水源(水道水)と比較することができる。

 しかし、水中に溶け込んでいる物質でも電荷を持たない(イオンになっていない)ものであれば伝導率に影響しない。(ケイ酸などはほとんど影響しない)

 

 電気抵抗は溶存イオン量が増大すれば低下し、減少すれば増加する。すなわち伝導度は抵抗の逆数である。

 伝導度の表し方は長さ1cm、断面積1cm2の立方体の面の抵抗をいう。(比抵抗)単位はohm(オーム)−1/cmで表される。

 また比伝導度としてSI単位ではS/cm(Siemens cm-1)と表現される。また水質分析では当量伝導度という表現もされるがここでは比伝導度として説明をしていく。

 

 私の考えはこの伝導度を利用して水質悪化を未然に防ぐことと、肥料濃度を調整するということにある。

 伝導度のデーターをいつも取っていれば水質の急変をたやすく防ぐことができるであろう。ここでひとつの例を上げてみよう。

 まず水槽設定のとき砂を洗い水槽に入れる。そのときの伝導度は水道水と変わりはないはずだ。その後、生物を水槽に入れる。そしてエサや肥料を与えそれに伴う排泄がある。中には死に至るものが現れ水質を少しづつ悪くしていく。それをイオン量で測りとるのだ。

 しかし、底砂や投入物から溶出するものがあれば伝導度は上がる。このようなときはデーターは非常に取りにくい。なぜなら水が汚れるのとは関係なしにイオンが溶出してくるからである。これは単に何日でどれだけのものが溶出すという推定は難しい。pH値や二酸化炭素量、酸素濃度などに大きく左右されるからである。

 ましてや肥料濃度を伝導度から読み取ろうとする場合しなんの技である。

 水草水槽のように溶存物質が比較的少ない場合はその量と伝導度はほぼ比例して変化する。これを利用し、バランスよく配合されたある一定の肥料を使用し伝導度を一定値高くするのだ。ただし、前者で説明した腐食物が溜まりだした水槽ではこれはできない。逆に言い変えればバランスの取れた水槽ではこの値をしっかり把握しておけばこの伝導度の微妙な変化から藻類の発生などを引き起こすことはなくなるであろう。

 いまこの伝導度と肥料の関係のデーターを作成中ではあるが、地域により水道水の伝導度も使用している砂も肥料も違う。一概にいくら伝導度を上げれば良いかは難しいが、だいたい日本の水道水では200ー300μS前後に調整すれば良いようだ。参考に日本の河川の平均伝導度は111.5μS/cm-1である。

 

 窒素

 水中に存在する窒素は様々な形態で存在している。

 有機態窒素としてアミノ酸、ポリペプチド、蛋白態、アミンなどがある。

 無機態窒素としてアンモニア、亜硝酸、硝酸などがある。

 

 我々のもつアクアリウムでは有機態窒素が増加すると水の透明度はおちる。しかしそれらは微生物の働きにより無機態窒素へと形態を変える。これを窒素循環とよぶ。この能力は有機態窒素量や微生物数、微生物活性、溶存酸素量、水温等により溶存形態がかわる。

 この窒素循環の正常な働きは、有機体窒素から酸化的環境下でアンモニウムを経て亜硝酸、硝酸と形態を変える。その硝酸から還元的環境下で亜硝酸を経て窒素ガスとなり気中へ放出されるのだ。

 天然のきれいな河川では硝酸態窒素(NO-N)は0.1mg/lオーダーで亜硝酸態窒素(NO-N)は0.001〜0.01mg/lである。

 しかし水槽ではどうであろう。特に魚類飼育水槽では硝酸態窒素は30〜100mg/lとひとつ間違えば亜硝酸態窒素濃度も1mg/l以上となる。

 このような環境下では他の水質要因を悪化させ、藻類の発生や水草の枯死等を引き起こし、また窒素量が増加するという悪循環を引き起こす。これらの原因としては色々なことが考えられる。

 1、供給有機態窒素量の過剰

    与えられるエサ、排泄物がその水槽の濾過能力を上回る場合。

    高温による生態系活性に伴う老廃物の排泄。

 2、好気性バクテリアの減少、不活性化

    濾過層、底砂の目ずまり硬直に伴う酸素欠乏。

    薬品による伝導率上昇や殺菌作用。

    濾過層、底砂の殺菌、水道水による洗浄。

 3、嫌気性バクテリアの減少、不活性化

    強い水流やエアーレーションによる還元箇所の減少。

    薬品による伝導率上昇や殺菌作用

    濾過層、底砂の殺菌、水道水による洗浄、濾材の交換

 

 水草水槽ではこのようなことが起きると直ちに植物は成長不良を引き起こす。だいたい他の水質が均等にバランスが取れているなら植物は窒素をアンモニウム塩(淡水(酸性下)では無害なこの形で存在する。海水では有害なアンモニアとして存在する)や硝酸塩(海水(アルカリ性)では殆ど蓄積されない)のかたちで肥料として吸収するのだ。言い換えれば植物が正常に育つ環境で、与えられる窒素量が植物が吸収するそれと釣り合っていれば濾過層は不要である。

 ただし、そのようなことは計算ではだしようがない。従って植物を多く入れるなら小さな濾過層でも好気的箇所と嫌気的箇所との配置をうまくすれば窒素のバランスは取れる。逆に植物が少ない場合はかえって強力な濾過を必要とする。

 このようにして植え込まれる植物と濾過のバランスを取り硝酸態窒素量で10mg/l以下に維持する必要がある。それを越えれば他の水質要因に作用しバランスはとれない。あくまでもこれは上限である。このほかに腐植酸として検出できないものが蓄積されているということだ。このような物質は個人ではRpHを測り推定しなければならない。硝酸態窒素が殆どない、ケイ酸などpHを下げるものもない。しかしpHもRpHも低い値を示す場合がある。これはアミンなどの有機酸が蓄積されているということになる。このような例もあるので注意してもらいたい。

 硝酸態窒素濃度は本来は天然と同様0.1mg/lオーダにするのがいい。私の研究では0.5mg/lでも一度バクテリアに変移がおこれば藻類の発生を招いた経験がある。それほど水質は微妙なものである。

 以上のように窒素はバクテリアの調子を見るうえで、水質を知り、植物の成長の推定ができる。現在では窒素含有量の目安としての硝酸は測り易くなった。これとともにRpHを測り大まかではあるが水槽の老廃物量を推定できるであろう。

 

 

 鉄

 水生植物に利用できる鉄は水草水槽のように酸化還元電位の高い、pHが中性付近の水質では非常に存在しにくい。

 水槽における鉄の存在状態は溶解3価鉄、溶解2価鉄、水酸化鉄、鉄錯イオン、錯化合物などとなつている。

 水生植物は鉄イオンを栄養として吸収する。しかし、2価鉄イオンをそのまま溶液として投入しても意味がない。なぜなら水槽では炭酸同化により有り余るほどの酸素が存在する。その環境では2価鉄は酸化され3価となりあげくの果てに水酸化鉄となり沈澱してしまうのだ。よくフィルターが赤くなることがあると思う。これは3価鉄や水酸化鉄がそこに溜まっているのだ。

 そうすればいったい鉄はどこから供給されるのだろうか。2価鉄イオンの溶解の条件として強酸性下か還元状態下である。強酸性下では生物は存在し得ない。従って還元状態下を作ってそこで2価鉄を溶出してもらわなければならないのだ。

 今までの説明により窒素循環においても鉄の面を見てもこのことが大切である。ラインヒーターを使用すればこの状況は簡単に作り出すことができるであろう。そして還元的箇所を底砂に作り出せば、溶解して3価化合物となるまえに2価イオンとして根からの吸収も期待できる。

 また、現在市販されている底砂用肥料や粘土には十分な鉄が含まれている。これをうまく使いこなせば2価イオンとしての鉄は供給できるが問題も多い。

 植物などがかれた腐植質には鉄を多く吸着していることが多い。これが底砂に蓄積されている。従って過剰な鉄の投入は無意味である。ましてやそうなれば水酸化鉄として沈澱し底砂が硬直してしまい物質循環を阻害してしまう恐れがある。

 もう一つの鉄の補給方法として鉄を錯体として投入することだ。錯体とは他の物質と鉄が結合したキレートをなしているものである。ゆえに化学的に安定な物質であり植物にも吸収しやすい。この状態であれば必要なときに必要な量を投入することができる。

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Fe2+はpHやO2環境により生存状態が変わる。
したがって還元個所をある程度作り出してやる必要がある。

 

 リン

 水中ではリンはリン酸塩または有機リンとして存在する。

 リン酸塩はそもそもは、岩石の一部に含まれる成分(Pとして存在)である。われわれのもつ水槽内ではその一部の岩石を投入しない限りリン酸塩濃度は上昇することはない。しいていうなら餌の与えすぎと肥料としての添加ぐらいであろう。これらの物質もpHによって4形態に変化する(PO3-,HPO2-,HP,HPO)。

 有機リンは、そもそも動植物体内に存在するもので、これらが死減するとすみやかにリン酸となって水中に溶解する。

 リンは窒素とともに藻類の成長に大きくかかわりをもつ。水槽中では窒素ほど蓄積し易くはないが、リンの濃度も窒素ともども把握しておくべきである。

 

 硫酸イオン

 ここでいう硫酸イオンとはSO2-のことであって、HSOではない。

 岩石には硫化物が含まれ、酸化環境下ではそれが酸化され硫酸イオンとして溶出する。また動植物の死減、エサの残りかすの分解による硫酸イオンの溶出などがある。また近年、石炭、石油などの燃焼に伴う硫酸塩の気中への排出量が多くなり、酸性雨の原因となり、それに伴う影響も出始めるだろう。

 この硫酸イオンは無機的反応に対しては安定である。しかし、還元環境下においては動植物にとって好ましくない形へと変化する。

 有機物が多く還元状態となっている底砂は黒色となる。これは硫酸イオンが還元され硫化物(S2-)となり、硫化鉄(FeS)として沈澱しているからだ。また硫化水素(HS)の発生の危険も生じる。

 以上のように硫酸イオンとしてはそう害のあるものではないが、これが増えれば他の溶存物質も増え、それを酸化する微生物が酸素を消費し、酸素欠乏となる。その結果、硫酸イオンは硫化物と化し、生存生物へ影響を与えることになるのだ。  

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有機物質が多い場合や、還元個所が多すぎるときに有害物質が発生する

 

 化学的酸素消費量(COD)

 CODとは化学的にその水がどれだけの酸素を要求するか。いいかえればある強力な過マンガン酸カリウムのような酸化剤を用いて有機物がどれだけ存在するかを知ることができる。ここでいう有機物は生体や懸濁態、溶存態などどれに関するものかはさなかではないが、水質の目安となる。

 一般に水草水槽のCODは低い値を示す。この値が徐々にでも高くなれば物質循環に何か欠陥があるとさっしがつく。

 しかし、このデータを収集するにはよほどバランスの取れた水槽でなければならない。そして頻繁な換水や、大量の換水を行えばそこで物質循環に変移がおこりデータは途切れてしまう。従って上級者向けの水質点検項目となる。

 

 生物化学的酸素消費量(BOD)

 BODの内容はCODに比べて複雑である。一言でいえば好気性バクテリアが存在し、そのほかの要因(pH、水温、栄養物質量等)がバクテリアにとって成育に適しているとき、水中に含まれる有機物がどの程度それらに酸化され酸素を消費するかという尺度である。

 しかし、水草水槽ではCOD値が低い。比較的汚濁していない水質ではBOD値はCOD値の2倍の値を示す。従って、CODが15mg/l以下であるなら、BODを測らずとも推定は出来る。